大切な人が入れ歯になるとき
家族や友人としてできるだけサポートし、アドバイスするために、入れ歯の適合とはどのようなものか、どのくらいの期間がかかるのか、調整の過程はどのようなものなのか、お知りになりたいかもしれません。しかし、とても個人的でプライバシーに関わることでもあり、どのような形でサポートやアドバイスをするのが最善なのか、悩まれることでしょう。
そのため、適合前、適合中、適合後の過程ができるだけスムーズに進行するようサポートするために、役に立つヒントをまとめました。
歯科受診時
歯科医に行くことへの反応は人によって違います。しかし、あなたの大切な人が歯科医を受診するときにできるだけ付き添ってあげると、きっと喜ばれることでしょう。まずは治療の流れについての情報を理解し、適した入れ歯のタイプを一緒に考えて決めましょう。何かわからないことがあれば、遠慮なく歯科医に質問して、詳しい説明を受けましょう。抜歯して入れ歯に置き換えるという実用的な側面だけでなく、審美的な側面も考慮する必要があります。たとえば、あなたのご家族またはご友人は、色や形などの側面について、別の人の意見を聞きたいかもしれません。
適合の当日は、あなたが最初から最後までそばに付き添っているというだけで、あなたの大切な人は何よりも心強く感じることでしょう。安心できる顔や励ますような笑顔の持つ力は、考えている以上に大きいのです。
歯科受診後
大切な人が入れ歯に慣れるまでの間、付き添ってあげると、お口の変化を受け入れたり、新しい口腔衛生の習慣をつけたりするのがずいぶん楽になることでしょう。適合の翌日は、入れ歯をそっと外し、お口をゆすぎます。入れ歯の当たる部位をゆすぐために、コップ1杯のぬるま湯にすると良いでしょう。これを毎食後、1日4回程度行います。
この時点で大切な人への最大の協力は、入れ歯に細菌やステインが付着しないように、錠剤、ペースト、ブラシなど専用の入れ歯洗浄製品で毎日お手入れをする習慣をつけるお手伝いすることです。実際にあなたがそばにいられないとしても、入れ歯のお手入れ方法についてご本人が理解していればよいのです。
入れ歯に慣れる
新しいことの多くがそうであるように、入れ歯も慣れるまでに少し時間がかかることがあります。最初に不便を感じるのは話すことと食べることです。最初の1週間はやわらかい食べ物を選ぶほうが良いでしょう。あなたの大切な人が入れ歯に慣れるためには、少なくとも最初の1週間は、食後の洗浄時と就寝時を除いて、一日中入れ歯を装着する必要があります。入れ歯安定剤を使うと、食べたり、話したりするときに安心感が得られるかもしれません。
時間の経過とともに、入れ歯はゆるくなることがあります。これは、自然歯で咬むときの刺激を受けなくなった顎の骨がやせることが原因です。入れ歯の再調整が必要な場合には、歯科医に相談しなければなりません。
もちろん、一人ひとり皆違うので、あなたの大切な人にも入れ歯の適合にご自分の要望がおありかもしれません。そこで、歯科医を受診する前に、治療の全体の流れについて話し合っておくとよいでしょう。ご本人は、治療の流れと、それがどのようなものか、次にどのような段階があるか理解されているでしょうか?今後必要となる新しい口腔衛生の習慣に不明な点はないでしょうか?このようなことの心構えができていると、今後の計画を立てたり、入れ歯に慣れるために必要なサポートを申し出たりできるのです。